特別縁故者は申立てが必要です

この制度は相続人不存在の場合に、残された遺産を国庫に帰属させるより、相続権はないけど被相続人と特別な縁故関係にあった者に与えた方が当事者だけでなく、国民感情に合致し被相続人の遺志にもかなうとして昭和37年の民法の一部改正によって新設されました。
相続を認められる特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者、とされています。
内縁の妻や事実上の養子が代表的な例で、ほかにも被相続人の療養看護に努めた親戚や知人、看護婦なども含まれます。
また特別縁故者は個人だけでなく、法人も認められています。
家庭裁判所が相続財産の分与をするためには、期限内に特別縁故者からの申立てがなければなりません。
特別の縁故関係があって被相続人のために貢献したとしても、申立てがないと相続財産の分与はされません。
これは自ら申し立てをしないと、すべての特別縁故者を把握できないということもあります。
この申立ては最後の相続人捜索の公告期間の満了後3カ月内にかぎられます。
申し立てにより遺産を分与するかしないか、また一部分与か全部分与かについては家庭裁判所の裁量によります。
なお特別縁故者が相続財産の分与を受けた場合、その額が基礎控除額の5,000万円を超えるなら、超えた額については相続税が課せられます。